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業務改善事例

訪問看護の記録、もっとラクにできます|現場で使える3つの時短テクニック

「記録のために訪問しているんじゃない」

そんな言葉を、訪問看護のスタッフから聞くことがあります。

訪問が終わって帰宅してから、パソコンを開いて記録を入力する。気づけば1時間近く画面に向かっていた、という日もある。チームの全員が毎日それをやっているとしたら、ステーション全体では相当な時間が記録作業に費やされていることになります。

記録は大切な仕事です。利用者さんの状態を残すためにも、連携先への情報提供のためにも、欠かすことはできません。

ただ、今の記録の方法が「最善」かどうかは、一度立ち止まって考えてみる価値があります。

この記事では、訪問看護の現場でそのまま使える3つの時短テクニックを紹介します。特別なシステムへの乗り換えや、大きなコスト投資は必要ありません。今日からでも始められる方法ばかりです。


テクニック1|音声入力で「移動中」に記録を終わらせる

記録に時間がかかる理由のひとつは、「後でまとめて入力しよう」と後回しにしてしまうことです。訪問のたびに時間が経過し、細かいことを思い出しながら書こうとするから、時間がかかる。

音声入力を使えば、訪問直後の記憶が鮮明なうちにメモを残せます。

スマートフォンのマイクボタンを押して話しかけるだけで、話した内容がそのままテキストになります。iPhoneならキーボード上のマイクアイコン、AndroidはGboardのマイクアイコンで使えます。

実際の活用イメージはこんな感じです。

  • 訪問を終えて玄関を出たら、駐車場まで歩きながら音声メモを入力
  • 「バイタル、血圧128の76、脈拍74、体温36.4。排便3日なし、腹部膨満あり。本人から足のむくみを訴えあり。次回ケアマネに報告予定」
  • この音声メモを帰社後に見ながら正式記録を入力すると、思い出す時間がなくなり入力がスムーズに

最初は話しながらメモするのが少し恥ずかしく感じるかもしれませんが、慣れると「これなしでは無理」という声が多いです。

もう一歩進んだ活用方法として、音声メモをそのまま記録の草稿として使う方法もあります。精度の高い音声入力アプリ(Googleドキュメントの音声入力機能など)を使えば、話した内容がかなり正確にテキスト化されます。誤変換を修正するだけで記録が完成するので、打鍵の手間がほぼなくなります。


テクニック2|テンプレート+定型文で「書く量」を減らす

記録に時間がかかるもうひとつの理由は、「毎回ゼロから文章を書いている」ことです。

訪問看護の記録は、ある程度パターンがあります。バイタル、観察内容、ケアの実施内容、本人・家族の反応、次回への申し送り。この構成さえ固まっていれば、埋めるべき項目は決まっています。

テンプレートを作っておくと、「何を書くか」ではなく「どう埋めるか」だけに集中できます。

たとえば、こんなシンプルなテンプレートを使っているステーションがあります。

【バイタル】BP: / P: / T: / SpO2:
【観察】皮膚・浮腫・呼吸・食欲・排泄・精神状態
【ケア内容】
【本人/家族の反応】
【次回への申し送り・連絡事項】

これをスマートフォンのメモアプリやLINE Keep(自分だけのトーク)に保存しておけば、訪問中または訪問直後にすぐ呼び出せます。

さらに、定型文のストックを作っておくのもおすすめです。

よく使う表現を事前に登録しておけば、1〜2文字の入力で候補を呼び出せます。スマートフォンの「単語登録」機能を活用すると、下記のような登録が便利です。

入力変換後の文章
ばいちバイタル測定。異常値なし。
こうく口腔ケア実施。出血なし。義歯の装着確認。
はいせつ排泄介助実施。量・性状・色調に変化なし。
むくみ下肢に浮腫あり。左右差なし。前回と比較し変化なし。

初期設定に30分ほどかかりますが、それ以降は毎日の記録時間が積み重なって節約できます。


テクニック3|写真・動画記録を補助的に活用する

言葉で説明しにくい状態変化を記録するのに、写真は非常に有効です。

褥瘡の経過、浮腫の状態、皮膚のトラブル、住環境の変化など、「文章で正確に伝えようとすると時間がかかる」内容を写真1枚で記録できます。文章を書く時間が短縮されるだけでなく、後から見返したときの情報量も増えます。

訪問看護でよく使われる写真記録の活用例

  • 褥瘡の経過観察(週1回写真を撮ることで変化が一目でわかる)
  • 浮腫の部位・程度の記録(言葉で「2+」と書くより視覚的にわかりやすい)
  • 住環境のリスク確認(コード類の引き回しやトイレまでの動線など)
  • 服薬管理の状態(薬の残量や管理方法を写真で確認)

写真記録を導入する際は、利用者・家族への事前説明と同意取得が必須です。「記録の補助として使用し、外部には提供しません」という説明を丁寧に行いましょう。同意書のひな形を作っておくとスムーズです。

また、写真の保存先も重要です。個人のスマートフォンで撮影したものをそのまま保管するのはリスクがあります。施設が管理するクラウドストレージ(Google WorkspaceやMicrosoft 365など)に自動同期する仕組みを作っておくのが理想的です。


3つのテクニックの組み合わせが効く

紹介した3つのテクニックは、組み合わせることでさらに効果が出ます。

  1. 訪問直後、駐車場で音声メモを入力
  2. 帰社後、テンプレートを開き音声メモを見ながら項目を埋める
  3. 皮膚状態など特記事項があれば写真を貼り付け

この流れを習慣にした場合、1訪問あたりの記録時間が従来の半分程度になるケースが多いです。1日7〜8件回るスタッフなら、毎日30〜40分の削減につながる計算になります。


「時間がない」のではなく「仕組みがない」

記録に時間がかかる問題は、スタッフの能力の問題でも、努力の問題でもありません。多くの場合、**「時短のための仕組みが整っていない」**だけです。

テンプレートの作成、定型文の登録、音声入力の習慣化。これらは一度仕組みを作ってしまえば、その後はほとんど手間なく使い続けられます。管理者が率先して「うちのステーションの記録テンプレート」を整備してあげるだけで、スタッフ全員の記録時間が短くなります。

記録にかける時間が減れば、その分を利用者さんとの関わりや、スタッフ同士の情報共有、自分の休息に使えます。

業務改善は、大きなシステム導入でなくていい。小さな工夫の積み重ねが、現場を楽にします。


あなたの施設では、記録以外にも「なんとなく時間がかかっている業務」はありませんか?


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Author

村上慎吾(ムラシン)

ムラシンAI 代表

医療法人向け採用支援を10年以上経験。400人規模の総合病院での業務改善プロジェクトでは、86%の職員が時短を実感。現場を知る業務改善パートナーとして、東海エリアの医療・介護施設を支援しています。

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