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業務改善

人が足りない介護施設こそ「仕組み化」で現場を守る

採用を頑張っても、現場が楽にならない理由

介護施設の施設長と話すと、必ずといっていいほど出てくる言葉があります。「人が足りない」。

求人を出す。面接する。採用できたと思ったら、3ヶ月で辞めてしまう。また求人を出す——この繰り返しに疲弊している施設は、愛知県内だけでもたくさんあります。

でも、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。辞めた理由は、本当に「人手不足だから」でしょうか。

「仕事がきついのに、余計な事務作業まである」「書類だらけで、利用者さんと向き合う時間が取れない」「毎回シフトの連絡がバラバラで、振り回される」。

こういった理由で離職を決めるスタッフは少なくありません。採用だけを頑張っても、職場環境の根本が変わらない限り、入口から入って出口から出ていく状態は続きます。

人手不足を解消する最初の一手は、今いるスタッフが「もう少し頑張れる」と思える職場を作ることです。そのための道具が「仕組み化」です。


仕組み化1:シフト作成を自動化して管理者の残業を減らす

毎月のシフト作成に、どれくらい時間をかけていますか。

スタッフから紙やLINEで希望休を集め、夜勤回数を均等にしながら連勤が続かないように調整して、有給や公休のバランスも見て——。これをExcelで手作業でやると、月20〜30時間かかっている施設もあります。

しかも、できあがったシフトは主任の頭の中にあるルールで組まれているため、その人が急に休んだり退職したりすると、誰も引き継げません。

仕組み化のポイント

Googleフォームで希望休を収集し、スプレッドシートで一元管理するだけで、作業時間は大幅に変わります。さらに Google Apps Script(GAS)でルールをシステム化すると、ボタン一つでシフト案が自動生成できます。

ルールをシステムに落とし込むことで得られる効果:

  • 希望休の集計・転記作業がゼロに(月4〜5時間の削減)
  • 夜勤回数・連勤制限の自動チェックでミスがなくなる
  • 担当者が不在でも、誰でもシフトを確認・修正できる

ある介護施設では、この仕組みを導入してシフト作成時間が月30時間から10時間前後に短縮されました(施設規模・スタッフ数によって効果は異なります)。主任が月20時間近く取り戻した時間を、スタッフとのコミュニケーションや業務改善に使えるようになったのです。

特別なシステムの導入費用は不要です。Googleアカウントがあれば今すぐ始められます。


仕組み化2:紙の申請書を電子化して残業を削減する

休暇申請、備品の購入申請、ヒヤリハット報告、事故報告書——介護現場には紙の書類が山ほどあります。

スタッフが紙に書く。施設長や主任に手渡す。ハンコをもらう。ファイルに綴じる。あとから確認しようと思ったら、どこのファイルか探す——。このフローがいまだに当たり前になっている施設は多いです。

このアナログな承認フローが、残業の温床になっています。

  • 申請書を書くためだけに出勤前後に施設に残る
  • 承認者がいないと手続きが止まる
  • 「あの書類どこに行った?」という確認作業が頻発する

仕組み化のポイント

Googleフォームで申請書を電子化し、回答がスプレッドシートに自動蓄積されるようにするだけで、かなりの手間が省けます。承認フローも、スプレッドシートのステータス列を更新するだけで管理できます。

電子化で期待できる効果:

  • 申請のためだけの残業がなくなる(1人あたり月1〜2時間の削減
  • 承認・確認のスピードが上がる(紙の回覧:数日 → スプレッドシート:即日)
  • 過去の申請を検索・集計できるようになる

スタッフが自分のスマホから申請できるようになるため、「書類を出しに行く」という動作そのものがなくなります。

毎月50件の申請があるとして、1件あたり5分の手間が省ければ、それだけで月4時間以上の削減になります。小さな積み重ねが、スタッフの「早く帰れる」につながっていきます。


仕組み化3:マニュアル整備で「あの人がいないと回らない」をなくす

「夜勤の引き継ぎはAさんしかわからない」「緊急時の連絡先はBさんの頭の中にある」——こういう状態を放置している施設は、実は大きなリスクを抱えています。

キーパーソンが急に体調を崩したとき、現場は混乱します。「どうすればいいか」がわからないスタッフは不安になり、余計な時間と精神的エネルギーを使います。その疲弊が、離職につながることもあります。

仕組み化のポイント

業務マニュアルの整備は、「完璧なものを作ろう」と思うから続かないのです。最初はA4一枚の手順書で十分です。

  • 夜勤帯の対応手順(緊急時の連絡先含む)
  • よくある問い合わせへの回答集
  • 新人スタッフが最初の1ヶ月でつまずくポイント

これをGoogleドキュメントで作り、現場のスタッフが更新できる状態にしておく。「誰かの記憶」から「共有の仕組み」へ移すだけで、現場の安定感が変わります。

マニュアルを整備した施設では、新人スタッフの「一人立ち」までの期間が1〜2ヶ月短縮されたケースがあります。教える側の負担が減り、教わる側の不安も減る。双方にとってメリットがあります。

属人化が解消されると、「あの人がいないと心配」という状態が「誰でも対応できる」状態に変わります。これが、スタッフが安心して休める職場の土台になります。


仕組み化は「一気に」やる必要はない

ここまで3つの仕組み化を紹介しましたが、全部を一度にやる必要はありません。

今、一番現場の負担になっているものから一つ選んで始める。それだけで十分です。

大事なのは、「採用を増やす」という発想だけでなく、**「今いるスタッフが長く働きたいと思える職場を作る」**という視点を持つことです。

仕組みが整った職場は、スタッフが安心して働けます。安心して働けるスタッフは、利用者さんに向き合う余裕が生まれます。その結果、施設全体のサービスの質が上がり、選ばれる施設になっていきます。

採用の努力が報われるのも、この土台があってこそです。


「うちの施設の場合、どこから手をつければいいか」が気になった方は、まず現状の業務を診断してみてください。改善のヒントを具体的にお伝えします。


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Author

村上慎吾(ムラシン)

ムラシンAI 代表

医療法人向け採用支援を10年以上経験。400人規模の総合病院での業務改善プロジェクトでは、86%の職員が時短を実感。現場を知る業務改善パートナーとして、東海エリアの医療・介護施設を支援しています。

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