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業務改善

まだFAX使ってますか?医療機関がFAXを段階的に減らす方法

FAXをやめたいけど、やめられない

「うちはまだFAXが主力です」と聞いても、医療機関の事務スタッフなら驚かないはずです。紹介状のやり取り、薬局への処方情報の連絡、健診結果の送付——気づけば1日に何十枚も送受信している、という職場も珍しくありません。

他の業界では「もうFAXなんて」という流れになっていますが、医療の世界では事情が違います。FAXが残り続けるのには、それなりの理由があります。

  • 連携先の医療機関や薬局がFAXしか受け付けていない
  • 送信した記録が紙で手元に残り、トレーサビリティが確保しやすい
  • 電子カルテや既存のシステムとFAXが連動しており、変えるとかえって手間が増える
  • 「これまでずっとこうしてきた」という慣例

これらはどれも、現場として無視できない理由です。「DX推進」と言われても、連携先が変わらない限りこちらだけでは動けない——そういうジレンマを抱えている事務担当者は多いと思います。

でも、だからといって「全部FAX」を続ける必要もありません。

一気にゼロにしなくていい。変えられるところから少しずつ減らしていくだけで、業務の手間はかなり違ってきます。


まず「送信先の分類」から始める

FAX削減を進めるとき、いきなり「全部やめよう」と動くと必ず壁にぶつかります。相手があることなので、こちらの都合だけでは動けないからです。

だからこそ、最初にやるべきことは**「送信先を分類する」**ことです。

変えられる相手・変えられない相手

送信先を洗い出して、2種類に仕分けします。

変えられる可能性がある相手

  • 院内の各部署や同一法人内の施設
  • すでにメールやシステムを使っている取引先・業者
  • 定期的に連絡を取っており、担当者と話しやすい相手

当面は変えられない相手

  • 「FAXのみ」と明示している連携先の医療機関や薬局
  • 送付書類の形式が法令や保険請求のルールに縛られているもの
  • 大量送信が必要で、代替手段の整備にコストがかかる相手

この分類をするだけで、「削減できる余地がどこにあるか」が見えてきます。院内のやり取りにFAXを使っているなら、まずそこから変える。それだけでも、枚数・時間・用紙代のムダが削れます。

「変えられない相手」は無理に変えようとしない。その判断が、現場を混乱させずに進めるコツです。


(1) メール・クラウドFAXへの移行

変えられる相手が見つかったら、代替手段を検討します。

院内・法人内はメールやチャットへ

院内連絡にFAXを使っているなら、メールやビジネスチャットへの切り替えが最もシンプルです。Gmailは多くの医療法人がすでに使っていますし、Google Chatであれば無料で使えます。

「誰が送ったか」「いつ送ったか」がログで残るため、紙のFAXより記録管理が楽になる面もあります。

外部へのFAXはクラウドFAXで効率化

どうしてもFAXが必要な相手には、クラウドFAXサービスが使えます。物理的なFAX機を使わずに、PCやスマートフォンから送受信できるサービスです。

メリットは大きく3つあります。

  1. 受信がメールで届く — 機械の前に立って出力を取りに行く手間がなくなる
  2. 送受信の履歴がデジタルで管理できる — 「送ったかどうか」の確認が簡単
  3. インクや用紙のコストが下がる — 使った分だけ費用が発生する従量制が多い

代表的なサービスとして「eFax」「j-fax」などがあります。月額数百〜数千円程度のものが多く、枚数が少なければ安価に使えます。

ただし、電子カルテや医事システムと連携する場合は、ベンダーへの確認が必要です。すでにFAX連動の機能が含まれているシステムもあるので、まず現行システムの仕様を確認するのがおすすめです。


(2) 受信FAXのデジタル保管

「送信はなんとかなっても、受信がネックで……」という声もよく聞きます。

連携先から毎日大量のFAXが届く。それを確認して、担当者に回して、ファイリングして——この流れが完全に紙ベースで動いていると、保管スペースも時間もかかります。

スキャン→PDF保存のルールをつくる

受信したFAXをすぐスキャンしてPDFに変換し、共有フォルダに保存するルールを整備するだけで、保管管理が一気に楽になります。

ポイントは「ファイル名のルールを統一する」こと。たとえば「日付_送信元_内容」の形式にしておくと、後から探すときに誰でも迷わず見つけられます。

例: 20260508_〇〇クリニック_紹介状.pdf

紙のFAXそのものをすぐには捨てられない場合でも、デジタルコピーがあれば検索・共有が格段に楽になります。紙は「念のための保存」に留め、実務はデジタルで回す体制に近づけます。

クラウドFAXで受信を自動デジタル化

先述のクラウドFAXサービスを使えば、受信時点からデジタルデータとして届きます。メールの受信トレイにPDFで入ってくるため、スキャンの手間そのものがなくなります。

ただし、クリニックや病院のFAX番号を変更する必要があるケースもあるため、導入前に患者・連携先への周知計画が必要です。電話番号と同様、FAX番号も変えると混乱が起きやすいので、慎重に判断してください。


「一気にゼロにしなくていい」が、実は正解

FAX削減の話をすると、「全部変えないとどうせ中途半端」と感じる方がいます。でも現場の経験からすると、むしろ逆です。

一気にゼロにしようとした職場ほど、連携先への説明が追いつかず混乱が起きたり、スタッフが新しい手順に慣れる前に元に戻ってしまったりするケースが多い。

段階的に進めることで、

  • 失敗しても影響範囲が小さくて済む
  • スタッフが少しずつ慣れていける
  • 「この方法は合わなかった」という判断もしやすい

という利点があります。

まずは院内FAXをひとつメールに切り替える。それだけでいい。

それが定着したら、次の1件を変える。そうやって少しずつ積み重ねていく方が、結果的に早く変わっていきます。


まとめ:今日から始める3ステップ

  1. 送信先リストを作り、「変えられる/変えられない」に分類する
  2. 院内・法人内のFAXをメールやチャットに切り替える
  3. 受信FAXのスキャン保存ルールを整備する(余裕があればクラウドFAXも検討)

FAXをいきなりゼロにする必要はありません。「減らせるところから減らす」を積み重ねることが、現実的な変化への近道です。

どこから手をつければいいか迷ったとき、具体的な状況を整理しながら一緒に考えることもできます。


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Author

村上慎吾(ムラシン)

ムラシンAI 代表

医療法人向け採用支援を10年以上経験。400人規模の総合病院での業務改善プロジェクトでは、86%の職員が時短を実感。現場を知る業務改善パートナーとして、東海エリアの医療・介護施設を支援しています。

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