その申請書、いつまで紙で回しますか
有休申請、備品購入申請、残業申請、事故報告書。介護施設では、日々さまざまな申請書が紙で行き交っています。
「上長が夜勤明けで不在だから、申請が3日止まっている」「先月の申請書が見つからなくて、事務が30分探した」「月末に申請件数を手で数えている」。こうした声は珍しくありません。
紙の申請書には、3つの構造的な問題があります。
- 物理的に移動しないと承認が進まない: 上長が不在なら、紙はデスクの上で待ち続ける
- ステータスが見えない: 今どこに紙があるのか、申請者には知る術がない
- 集計に手間がかかる: 月末にすべての申請書を手で数え、Excelに入力し直す
これらの問題は、Googleフォームとスプレッドシートで解決できます。
電子化の全体像
紙の申請書をデジタルに移行する仕組みはシンプルです。
申請者(スマホ/PC)
↓ Googleフォームに入力
スプレッドシート(自動記録)
↓ GASで承認者に自動メール通知
承認者(スマホ/PC)
↓ スプレッドシート上で承認 or 差戻し
申請者に結果を自動通知
新しいソフトウェアの購入は不要です。Googleアカウントがあれば、今日から始められます。
手順1: Googleフォームで申請書を作る
まず、最も使用頻度の高い申請書を1つ選びます。有休申請がおすすめです。
フォームの項目例(有休申請):
- 氏名(プルダウンで職員名を選択)
- 所属部署(プルダウン)
- 希望日(日付選択)
- 種別(有休 / 半休 / 特別休暇)
- 理由(任意・自由記述)
作成のコツ: 紙の申請書にある項目をすべて移すのではなく、本当に必要な項目だけに絞ります。入力が面倒だと使われません。目安は5〜7項目以内です。
手順2: スプレッドシートで申請台帳を自動化する
Googleフォームの「回答」タブから「スプレッドシートにリンク」を選択すると、回答が自動的にスプレッドシートに記録されます。
このスプレッドシートに「承認ステータス」列を追加します。承認者はこの列に「承認」「差戻し」と入力するだけです。プルダウンリストを設定しておくと、さらに簡単になります。
集計の自動化:
スプレッドシート内に集計シートを作り、関数で自動集計します。
=COUNTIF(台帳!F:F, "承認")→ 承認済み件数=COUNTIFS(台帳!B:B, "看護部", 台帳!F:F, "承認")→ 部署別の承認件数
月末の集計作業がゼロになります。
手順3: 承認フローを自動化する
Google Apps Script(GAS)を使って、2つの通知を自動化します。
通知1: 申請が来たら承認者にメール
フォームが送信されたタイミングで、承認者に「新しい申請があります」とメールを自動送信します。これにより、承認者は紙を待つ必要がなくなります。
通知2: 承認されたら申請者にメール
承認者がスプレッドシートのステータスを変更したら、申請者に「承認されました」とメールが届きます。「申請がどうなったかわからない」という不安がなくなります。
どれくらいの効果があるか
紙の申請書を電子化した施設で見られた効果の一例です(※施設の規模や運用状況により異なります)。
| 項目 | 紙のとき | 電子化後 |
|---|---|---|
| 申請〜承認の日数 | 数日かかることも | 早ければ即日 |
| 月末の集計作業 | 半日〜1日 | 大幅に削減(自動集計) |
| 過去の申請を探す時間 | 10〜30分 | 数秒(検索機能) |
| 申請書の紛失 | 時々発生 | ほぼなくなる |
特に大きいのは「月末の集計作業がなくなる」ことです。事務担当者がこの時間を他の業務に使えるようになります。
移行を成功させるコツ
最後に、紙からデジタルへの移行で失敗しないための3つのポイントです。
1. 1種類ずつ移行する。 全申請書を一斉に電子化しようとすると、現場が混乱します。まず1種類で成功体験を作り、そこから広げましょう。
2. 並行運用期間を設ける。 最低2週間は紙とフォームを両方受け付けます。「紙でも出せる」という安心感が、移行への抵抗を減らします。
3. 操作が苦手な人をサポートする。 最初の1回を一緒にやるだけで、次からは一人でできるようになります。マニュアルを配るより、隣で一緒に入力するほうが効果的です。
「うちの施設でも電子化を始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない」。そんな方は、無料の業務改善診断をご利用ください。現場にお伺いし、最初に電子化すべき申請書とその具体的な手順をご提案します。
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