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AI活用ガイド

医療事務でAIを活用している施設は何をしているのか?事例3選

「AI活用」と聞いて、何を想像しますか?

電子カルテの自動入力、AIによる診断支援、ロボットによる薬剤管理——そういったニュースを目にすると、「うちにはまだ早い」と感じる方も多いかもしれません。

ただ、現場の医療事務スタッフや院長から相談を受けていて気づくのは、実際にAIで効果が出ているのは、もっと地味なところだということです。

問い合わせ対応のテンプレート作成。紹介状の転記作業。レセプトの確認漏れチェック。特別なシステム投資をしなくても、手元のツールと少しの工夫でできることは、思ったよりあります。

今回は、医療事務でAIを活用している3つの事例を紹介します。それぞれ「何をしているか」「どのくらい効果があるか」「注意点は何か」を具体的に書きます。


事例1:電話問い合わせへの対応を「FAQ化」する

こんな状況はないですか?

「予約の変更はできますか?」「駐車場はありますか?」「初診の持ち物を教えてください」——受付には毎日、同じような問い合わせが繰り返されます。1件あたりの対応は短くても、積み重なると相当な時間です。

AIを使った改善の中身

ある内科クリニックでは、ChatGPTやGeminiを使ってFAQ回答のテンプレートを整備しました。やったことはシンプルです。

  1. よくある問い合わせを50件ほどリストアップする
  2. AIに「患者さんに向けた、やさしい言葉で回答を作って」と依頼する
  3. 出てきた文章を確認・修正して、共有ドキュメントに保存する

作成したFAQをWebサイトに掲載したところ、電話問い合わせ件数が週に10〜15件ほど減ったといいます。

また、院内では「よく聞かれる質問への返し方」をスタッフで共有するための素材としても使っています。新しいスタッフが入ったとき、一から説明しなくても済むようになった、という副次効果もありました。

注意点

AIが作った回答文は、そのまま使わないことが前提です。医療に関する内容(症状への対応、薬の飲み合わせなど)は、必ず院内で確認・修正してから使用してください。AIは「もっともらしい文章」を作りますが、医療的な正確性の保証はできません。


事例2:紹介状・診断書のデータ入力を「下書き補助」に変える

紙の処理に追われる医療事務の現実

他院からの紹介状、各種診断書、入院サマリー——これらを電子カルテや管理台帳に入力する作業は、医療事務の中でも時間がかかる仕事のひとつです。手書きの文字を読み解きながら、正確に転記しなければならない。集中力を要する割に、「入力するだけ」の作業でもある。

下書き補助として使う

一部のクリニックでは、AIを「完全な自動入力」としてではなく、下書きを作るアシスタントとして活用しています。

紙の紹介状をスキャンしてテキスト化したあと、Geminiに「以下の内容から、患者情報・主訴・既往歴をまとめて」と依頼します。整理された要約が出てくるので、それを確認しながら入力する、という使い方です。

OCRツールとAIを組み合わせることで、「読む→整理する→入力する」という流れが「確認する→入力する」に縮まります。施設によっては、1件あたりの入力時間が3〜5分短縮できたという話も聞きます。

注意点

患者の個人情報をAIツールに入力することについては、ご利用の施設のポリシーに従ってください。患者氏名や生年月日などの個人特定情報を、外部のAIサービスに入力するリスクについて、院長・事務長と事前に確認することが必要です。

Google Workspaceをすでに利用しているなら、Gemini for Google Workspaceはデータがトレーニングに使われないため、選択肢のひとつになります。


事例3:レセプトチェックの「見落とし防止」に使う

レセプト業務のプレッシャー

毎月10日前後の締め切り、大量の請求データ、返戻への対応——レセプト業務は医療事務の中でも、特にミスが許されない仕事です。「確認したはずなのに、通ったあとで気づいた」という経験を持つ方も多いでしょう。

AIを活用したチェックの補助

ここでのAI活用は、「AIがレセプトを審査する」ではありません。もっとシンプルです。

よくある返戻パターンを整理したチェックリストをAIに作らせて、それをもとに確認する、という使い方です。

「算定ルール上、この組み合わせは査定される可能性がある」「この病名には、この処置の記載が必要」——こういった知識を整理して、チェック用のリストにまとめる作業を、AIを使って効率よく行います。

実際にある施設では、「過去1年間で返戻になったケースをリストアップして、AIに共通点を整理させた」ことで、チェック漏れの傾向が見えるようになったといいます。そのリストをもとにチェックシートを作り直したところ、返戻件数が減ったという話でした。

注意点

AIは診療報酬の詳細な算定ルールを正確に把握しているわけではありません。改定のたびにルールも変わりますし、地域によって審査基準が異なる場合もあります。最終的な判断は、必ず担当スタッフの目視確認が必要です。「AIに任せれば大丈夫」ではなく、「漏れを減らすためのサポート」として使うのが正しい位置付けです。


AIは魔法ではない、という話

ここまで3つの事例を紹介しましたが、共通して言えることがあります。

AIが直接作業を代替しているのではなく、人が確認・判断するプロセスを効率化しているのです。

FAQの文章も、データ入力の下書きも、レセプトのチェックリストも、最終的に「これで合っているか」を判断するのは、現場のスタッフです。その確認作業を支えるために、AIが使われています。

「AIを入れれば人手が不要になる」という期待は、今の段階では過大です。一方、「AIは医療には使えない」という思い込みも、もったいない。

地味な使い方を積み重ねることで、毎月数時間の負担軽減は、現実的に達成できます。


まとめ

活用場面やっていること効果の目安
電話問い合わせ対応FAQ回答テンプレートの作成・整備問い合わせ件数の削減、対応のばらつき軽減
データ入力補助紹介状・診断書の要約下書き作成1件あたり3〜5分の短縮
レセプトチェック返戻パターンのチェックリスト整備確認漏れの削減

「うちでも試せそうなことがある」と感じた方は、具体的な導入手順からお話しします。

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Author

村上慎吾(ムラシン)

ムラシンAI 代表

医療法人向け採用支援を10年以上経験。400人規模の総合病院での業務改善プロジェクトでは、86%の職員が時短を実感。現場を知る業務改善パートナーとして、東海エリアの医療・介護施設を支援しています。

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